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クリーンルームとは クリーンルームの仕組みと導入のポイント

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クリーンルームは製造業や医薬品、食品加工など幅広い分野で欠かせない存在となっています。
その名の通り、外部の汚染物質や微粒子を最小限に抑えた環境を提供することで製品の品質や安全性を確保します。

近年日本国内の製造業では、より高い精密性が求められる中で、クリーンルームの導入が進んでいます。
本記事では、クリーンルームの仕組みやその導入時に考慮すべきポイントについて詳しく解説していきます。


1. クリーンルームとは

1.1 クリーンルームの定義

クリーンルームは空気中の微粒子や微生物、化学物質の濃度を一定基準以下に制御した空間を指します。
このような環境を実現するためには、外部からの汚染を防ぐための密閉構造や、高性能なフィルタを使った空気清浄システムが欠かせません。また、クリーンルーム内の環境は、国際標準化機構(ISO)が定める規格(ISO 14644-1など)によって分類され、特定の用途に応じた清浄度が求められます。

製薬業界では製品に微生物が混入しないように無菌環境が必要とされる一方、半導体業界では微細なチリやホコリが製品性能に大きな影響を与えるため、厳しい清浄基準が適用されます。このようにクリーンルームは業界ごとに異なる要件を満たすように設計されています。

空気清浄度クラスによる測定粒径と上限濃度(ISO 14644-1)

ポイント
  • ISOクラス1〜5: 非常に高い清浄度が求められる環境。半導体、ナノテクノロジー、
            医薬品の製造に使用。
  • ISOクラス6〜8: 一般的な製造業や医療機器の組み立てに適用。
  • ISOクラス9: 通常のオフィスや日常的な環境とほぼ同等。



1.2 製造業におけるクリーンルームの必要性

クリーンルームは製品の品質と信頼性を確保するために不可欠な施設です。
特に繊維や化学、食品、医薬、金属加工などの分野では、製品が汚染されることで発生するトラブルやリスクを未然に防ぐ役割を果たします。

例えば食品製造では異物混入を防ぎ、消費者の安全を守るために、クリーンルームの導入が一般化しています。
また、医薬品の製造過程では、クリーンルームが厳密な衛生管理を実現し、薬剤の品質基準を維持します。一方、機械や電機製造業では、クリーンルームが高精度な製品製造を可能にし、不良率の低減に貢献しています。
さらに、製造業界では国際市場における競争力を維持するためにも、クリーンルームの存在が重要です。製品の高品質化を求める顧客ニーズに応えることで、企業の信頼性やブランド価値を向上させる手段となります。

2. クリーンルームの仕組みと種類

2.1 クリーンルーム内の空気管理システム(HEPAフィルタなど)

クリーンルームの中核を担うのが空気中の微粒子や微生物を制御するための空気管理システムです。
その中でも重要な役割を果たすのが、HEPAフィルタ(High EfficiencyParti culate Air Filter)です。このフィルタは、直径0.3ミクロン以上の粒子を99.97%以上除去できる性能を持ち、クリーンルームの清浄度を維持するための基盤となっています。

空気管理システムは、以下のような構造で機能します。

  • 空気清浄フィルタリング:外部から取り入れる空気は、まずHEPAフィルタやさらに高性能なULPAフィルタでろ過されます。
  • 室内の気流制御:汚染物質を排除するために、クリーンルーム内の気流は通常、層流または乱流によって設計されています。
  • 圧力制御:クリーンルームは、外部からの汚染を防ぐために正圧状態に保たれることが一般的です。ただし、特定の用途では逆に負圧が必要な場合もあります(例:病院の隔離病棟)

また、これらのシステムが正常に動作しているかどうかをモニタリングするセンサー技術も不可欠です。これにより、空気中の微粒子濃度や温湿度、気流速度をリアルタイムで把握し、問題が発生した際には迅速な対応が可能になります。

2.2 用途別クリーンルームの分類(製薬、食品、電子工場など)

クリーンルームは、その用途や目的に応じて設計が異なります。以下は主な業界別の分類と特徴です。

  • 製薬業界
    製薬業界では、無菌状態を維持するためのクリーンルームが必要不可欠です。薬剤の製造過程で微生物や異物が混入しないように、ISOクラス5(クラス100)以上の高い清浄度が求められます。また、正圧制御が一般的ですが、特定の薬品の製造では負圧制御も採用されます。
  • 食品業界
    食品の安全性を確保するため、クリーンルームは異物混入を防止する役割を果たします。特に加工食品や乳製品では、空気中の微粒子を減らし、カビや細菌の繁殖を抑制する設計が採用されます。食品業界で使用されるクリーンルームは、比較的低い清浄度(ISOクラス8程度)でも十分な場合があります。
  • 電子・半導体業界
    この分野では、微細なチリやホコリが製品の品質に直接影響を与えるため、最高レベルの清浄度(ISOクラス1~3)が必要です。たとえば、半導体の製造工程では、クリーンルーム内の気流が層流式で制御され、汚染物質が発生しにくい構造となっています。

用途によるクリーンルームの設計には、それぞれの業界固有のニーズに応じたカスタマイズが必要です。そのため、導入時には業界標準や規制を十分に考慮する必要があります。

3. クリーンルーム導入のメリットと課題

3.1 製品品質向上やコンプライアンス対応

クリーンルームを導入する最大のメリットは、製品品質の向上と規制遵守の実現にあります。製造業において、異物混入や微生物汚染は製品の不良率を高めるだけでなく、顧客からの信頼を損ねるリスクを伴います。クリーンルームは外部からの汚染物質を最小限に抑えるため、製品の品質を確保し、市場競争力を強化する手段となります。

さらに、多くの業界では厳しい規制が存在します。たとえば、製薬業界ではGMP(Good Manufacturing Practice)、食品業界ではHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)といった品質管理基準に準拠する必要があります。
クリーンルームの導入により、これらの基準を満たしやすくなり、法的リスクの低減や認証取得の容易化が期待できます。

企業は品質向上に伴う顧客満足度の向上や、国際的な基準への対応力を高めることにより、ブランド価値の向上も図ることができます。

3.2 導入コストと運用上の注意点

一方で、クリーンルームの導入には高額な初期費用が伴う点が課題となります。設計や施工、空調設備、フィルタシステムの導入には多額の投資が必要です。また、運用中も電力消費やメンテナンス、消耗品の交換といったコストが継続的に発生します。そのため、導入前に詳細なコストシミュレーションを行い、投資対効果を明確にすることが重要です。

また、運用段階では、以下のような注意点があります。

  • 定期的な清掃と点検:フィルタや空調システムの劣化を防ぐため、定期的なメンテナンスが必要です。
  • 従業員の教育:クリーンルーム内での作業ルールを遵守するための従業員教育が不可欠です。
  • 用途に応じたカスタマイズ:業界ごとに異なる清浄度基準を満たすため、設備を用途に応じて最適化する必要があります。

これらの課題に対応するため、専門業者と連携し、最適な設計と運用プランを構築することが成功のカギとなります。また、最新のフィルタ技術を採用することで運用効率を向上させることが可能です。例えば、こちらのフィルタ製品(BFMシリーズ)は、高効率かつ長寿命な性能を持ち、省エネを含めたランニングコスト削減に寄与します。

4. クリーンルーム導入の実際のプロセス

4.1 設計から運用開始までの流れ

クリーンルームの導入は、計画段階から運用開始までに複数のステップを経るため、各段階で適切な判断が求められます。以下は、クリーンルーム導入の基本的なプロセスです:

  • 要件定義
    最初に、クリーンルームを利用する目的や清浄度の基準(ISOクラスなど)を明確にします。この段階で、どの程度の汚染物質を管理する必要があるのか、製造プロセスにどのような影響を及ぼすのかを分析します。
  • 設計と計画
    必要な清浄度や使用目的に基づき、クリーンルームのレイアウトや空調システム、気流方式(層流または乱流)を決定します。適切な設計は、ランニングコストの最小化や効率的な運用につながります。
  • 施工と設備導入
    専門的な建設技術を持つ施工業者によって、空調設備やフィルタシステムを含むクリーンルームのインフラを整備します。この段階では、予算管理とともに、工期のスケジュール管理が重要です。
  • テストと検証
    完成したクリーンルームは、環境試験を通じて目標とする清浄度を達成しているかを確認します。エアロゾルテストや風速測定、圧力試験など、複数の項目をチェックします。
  • 運用開始と継続的なメンテナンス
    運用を開始した後も、定期的な清掃、フィルタ交換、性能試験を実施し、クリーンルームの環境を維持します。運用ルールを従業員に徹底することも重要です。

4.2 フィルタ製品などの関連設備の選定ポイント

クリーンルームの性能を維持するためには、適切な設備選定が欠かせません。中でも、空調システムとフィルタ製品の選定が重要です。以下は主な選定ポイントです。

  • フィルタの性能と効率
    高性能なHEPAフィルタやULPAフィルタを選ぶことで、微粒子を効率よく除去できます。選定時には、捕集効率(例えば99.97%以上)や寿命、メンテナンス性を確認してください。
  • エネルギー効率
    ランニングコストを抑えるため、エネルギー効率の高い空調システムを採用することが推奨されます。最新のフィルタ技術は、抵抗を最小限に抑えながらも高い清浄度を保てる設計がされています。
  • 適応性とカスタマイズ性
    用途や業界基準に応じてカスタマイズが可能な製品を選ぶと、運用時の柔軟性が向上します。例えば、こちらのフィルタ製品は、幅広い業界ニーズに対応できる設計が施されています。
  • アフターサポートと供給体制
    フィルタや設備の供給が安定していること、定期的な点検や交換が可能なサポート体制が整っていることを確認することも大切です。

5.まとめ

クリーンルームは、製造業や医薬品、食品加工といった幅広い分野で、製品の品質を確保し、国際競争力を高めるために欠かせない存在です。その仕組みは、空気管理システムや高性能なフィルタ製品を組み合わせることで、外部からの汚染物質を徹底的に排除するよう設計されています。また、用途に応じた清浄度や設備の選定が求められ、それぞれの業界の特性に合った設計が重要です。

導入プロセスでは、要件定義から設計、施工、運用までの各段階で綿密な計画と専門的な知識が必要です。特に、HEPAフィルタやULPAフィルタなどの選定は、清浄度の維持とランニングコストの最適化に直結します。適切な製品とサポートを提供するパートナーの選択が、成功の鍵を握ります。

課題としては、初期投資や運用コストの負担がありますが、長期的には製品品質の向上や顧客満足度の向上、さらにはブランド価値の向上といったメリットが得られます。最新の技術を活用し、効率的かつ持続可能な運用を目指すことで、企業の成長を支える基盤となるでしょう。

クリーンルーム導入を検討する際は、信頼できる専門業者や製品を活用することをお勧めします。
こちらのクリーンルーム機器製品は、高い性能と耐久性を兼ね備えており、比較的簡易的にクリーンルームを実現できるとして、多くの業界で使用されています。

クリーンルームは単なる設備投資ではなく、製造業における革新の要です。本記事が、クリーンルーム導入に向けた理解と計画立案の一助となれば幸いです。質問やさらなる情報が必要な場合は、ぜひお問い合わせください。


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